高市さん、今「戦艦」は存在しないのでは?
台湾有事に関する高市早苗首相の発言が物議を醸しています。その内容はともかく、高市首相が「戦艦」という
言葉を使ったのが気になってしようがありません。だって今、現役の「戦艦」はないはずですから。
「戦艦」といえば、戦艦ポチョムキン、宇宙戦艦ヤマト……などと映画、アニメなどでなじんできたのですが、
リアルな軍事にはとんと疎い私。それでも、いま戦艦というものは現役では存在しないらしいということは、どこかで読むか聞くかしていました。
高市さん、国会で「戦艦」なんて言葉を使って大丈夫なんだろうか、と気になりましたが、その後の内外の反応は主に、これまで曖昧にしてきた存立危機事態、
つまり自衛隊を戦場に派遣できるケースとして台湾有事を明言したことについての是非であり、
「戦艦」という言葉についてはあまり問題にされていないようです。私の認識が間違っているのでしょうか。
「世界で現役の戦艦は存在しない」
そこで「ミリタリー用語辞典」(野神明人著、新紀元社、2019年)で調べました。ちなみに同書は最初のページにも
「軍艦をまとめて『戦艦』と呼んだり、軍用車両をまとめて『戦車』と呼んだりすることは、残念ながら一部の報道でも見られます」とあり、のっけから苦言を呈しています。
中国軍のことは書かれていませんが、戦艦を有しているという情報は「中国軍、その本当の実力は――中国軍は台湾を着上陸侵攻できるのか」(樋口譲次著、国書刊行会、2023年)にも
ネット上でも見いだせません。戦艦は今、ハワイに「ミズーリ」、横須賀に「三笠」などが記念艦として展示されているくらいで、歴史的遺物のようです。
高市さん、ご存じなかったか
だから正確には「軍艦」と言うべきところでしょう。それなのに高市首相はなぜ「戦艦」という言葉を使ったのでしょうか。
