撮影:キンマサタカ
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「スーパーアイドルゆってぃ」というキャラクターに扮して活動するピン芸人のゆってぃ。「ちっちゃい事は気にするな」のフレーズで知られ、自他ともに認める“陽キャ”だ。そんな彼にはパニック障と診断された経験がある。また、妻でグラビアアイドルの石川あんなも同様の診断を受けているという。ゆってぃに症状や現在の様子、向き合い方について聞いた。(取材・文・撮影:キンマサタカ/Yahoo!ニュース オリジナル 特集編集部)
■陽気な芸人の心が発した突然のSOS
「ちっちゃい事は気にするな、それワカチコワカチコ」
キラキラ光る銀色の衣装に、派手なヘアバンド。このフレーズを武器にして活躍する芸人ゆってぃ。「お笑い界のスーパーアイドル」の異名をとる彼は、常に能天気でポジティブな性格で、学生の頃から人気者だった。周囲の芸人は「彼は“陽キャ”だ」と口をそろえる。
だが、そんな彼もつい数年前に精神的にひどく落ち込んだ経験があるという。それは突然やってきた。
「急に周囲の壁が迫ってきたんです。初めての体験で、怖かったですね」
ゆってぃが人生で初めての「恐怖」を味わったのは、5年前のことだった。
当時は新型コロナウイルス感染症によるパンデミックが世界中を恐怖に陥れていた。感染リスクにおびえると同時に、外出も仕事も制限された。世間は「嫌なムード」に包まれ、エンタメ業界の仕事は激減。芸人たちは見えないウイルスの恐怖と、明日への不安に震え上がった。しかし、ゆってぃが体験したのは、コロナ禍への恐怖ではなかった。
2020年8月。コミュニティFMでMCをやっていたゆってぃは、電車に乗ってラジオ局へと向かっていた。暑い日だった。マスクをしていることもあり、移動中にたくさん汗をかいたことを覚えている。
ラジオ局に着いて打ち合わせが終わる。収録が始まる前から違和感を覚え始めた。
「その日は収録ブースに入った時から『なんだか嫌だな』という感覚があったんです」
放送が始まっても、「嫌な感覚」は消えなかった。やがて、自分に起きている強烈な異変に気がついた。周囲の壁が自分に向かって迫ってくるような感覚に襲われたのだ。
「周囲の壁がぐーって僕に近づいてきて、押しつぶされるような感覚。あれ、あれ、と思ったら一気に怖くなって、心臓はバクバクでした」
視界は狭くなり、呼吸は浅くなった。体中から汗が噴き出す。それでも収録中であったため、なんとかこらえようと腹に力を入れた。
「適当なことをしゃべっていたと思うんですけど、頭の中は真っ白で、相手がしゃべっていることも頭に入ってきませんでした」
狭いブースにはスタッフを含めて3人がいたが、とにかく外に出なくてはダメだと思った。ここにいたら自分がどうにかなってしまいそうな恐怖だった。
「このままではやばいと思ったんで、もう一人のMCに冗談っぽく『トイレに行くわ』と言って外に飛び出しました」
ブースの重たいドアを開けて外に出ると「今、本番中だよ!」という笑い声が後ろから聞こえた。とっさの機転で笑いに変えられたことに安堵しつつも、その後は外のベンチに腰掛けたまま放心し、ブースに戻ることはなかった。戻ろうと思っても、体と心がいうことを聞かなかったからだ。ディレクターには「今日はちょっと無理かも」と伝えた。
「スタッフたちは心配してましたね」
しばらくすると先ほどの症状は治まり、スタッフにも「大丈夫」と笑顔で伝えたが、自分自身が大丈夫とは思えなかった。
「最初はコロナの症状かなとも思いました。でも熱もないし違うよなって。とにかく初めての経験だったんです」
自身のどこかに異変が起きていることは明らかで、車で自宅まで送ってくれたディレクターには病院に行くことを勧められた。
(※以下略、全文は引用元サイトをご覧ください。)
