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人間が自然の中に生活圏を広げていくことで、その都市に馴染むための「新たなペット」が生まれつつある。
アメリカのアーカンソー大学の研究者たちは、都市で暮らすアライグマの体に変化が現れていることに気づいた。
鼻先が短くなって丸顔になり、攻撃性も低下しているという。
これは「家畜化症候群」と呼ばれる現象で、人間のそばで暮らすうちに野生のアライグマが少しずつ適応を始めた兆しだと考えられている。
かつてオオカミが犬へと変わったように、アライグマもまた、人間と共に生きる道を歩み始めているのかもしれない。
この研究成果は『Frontiers in Zoology』誌(2025年10月2日付)に掲載された。
アメリカの都市部に住むアライグマの変化
アライグマ(Procyon lotor)は北アメリカ原産の中型哺乳類で、パンダのような黒いマスク模様の顔と縞のある太い尻尾が特徴だ。体長はおよそ40〜60cm、体重は4〜9kgほど。
夜行性で雑食性。前足の指が非常に器用で木登りや泳ぎも得意である。
前足を水中に突っ込んで獲物を探る姿が手を洗っているように見えることから、種小名「lotor」は、ラテン語で「洗うもの」を意味し、漢字でも洗熊と書く。
本来は、森で果物や昆虫、小動物、魚などを食べていたが、人間の生活圏に順応し、ゴミをあさることも多い。このことからアメリカでは「ゴミパンダ(Trash Panda)」の異名を持つ。
アーカンソー州、アーカンソー大学リトルロック校(UALR)のラファエラ・レッシュ助教授が率いる研究チームは、都市部に現れるアライグマの姿に変化が起きていることに気が付いた。
そこで、アメリカ合衆国本土に生息するアライグマを対象に、都市部と農村部での体の違いを詳しく調べた。
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Image by Istock Carol Hamilton
鼻先が短くなり丸顔に、穏やかになったアライグマ
研究チームは、アライグマが都市でどのように変化しているのかを確かめるため、2000年から2024年までの間、自然観察アプリ「iNaturalist」にアメリカ各地の一般市民が投稿したおよそ2万枚のアライグマの画像を使って、都市部と農村部の個体を比較した。
